50-041-01,邦訳日葡辞書
資料名
- 邦訳日葡辞書
時代
- 1603-04年
原本所蔵
- 『邦訳日葡辞書』は、1980年に岩波書店より出版。
- 『邦訳日葡辞書』の底本となった日葡辞書は、オックスフォード大学ボードレイアン図書館本。
影印・複製・電子画像情報
- 『日葡辞書』(1973, 勉誠社)
- 土井忠生・森田武・長南実(編訳)『邦訳日葡辞書』(1980, 岩波書店)
- 『キリシタン版 日葡辞書 カラー影印版』(2013, 勉誠出版)
入力凡例
- 『日葡辞書』の本篇ならびに補遺篇において、見出し語として立項される漢語のみを収録した。『邦訳日葡辞書』では、語釈中のみに現れる漢語等についても、「‡」の記号を付して立項しているが、本データベースでは採用しなかった。
- 漢字表記は、『日葡辞書』原本には存在しないが、『邦訳日葡辞書』に示される推定表記を全面的に採用し、《単字》《漢語》列に入力した。「Daicǒ【大剛・大強】」のように複数の表記が推定されている場合には、「大剛」「大強」それぞれを採用し、該当行の《その他》列に「推定表記出現形:大剛・大強」のように示した。
- 仮名表記も、『邦訳日葡辞書』に示される転写法に従い、《仮名注》《仮名型》列に入力した。転写法の詳細や注意点については、次節「字音情報」を参照されたい。
- 原本のアルファベット表記は、《漢語》《仮名型》に対応する部分を、《漢語_alphabet》列に入力した。また《仮名注》に対応する部分を《単字_alphabet》列に入力した。
- 混種語については、字音読部分のみに行を与え、該当行の《語種》列に「混種語」と示した。
- 《出現位置》列には、『邦訳日葡辞書』におけるページ数と左右(l/r)を示し、続けて、補遺篇の場合は「†」を、vel注記の被注語を採用した場合は「L」を入力した(後述)。
- 語形と漢字表記を同じくする見出し語が、複数箇所に立項されている場合は、一つにまとめて、《備考》列に「2項目を統合」などと記した。
- 『日葡辞書』の見出し語には、「tanbat. l, tanmat【端末】」や「fusǒ. l, fusǒcocu.【扶桑、扶桑国】」のように、「l,」の後に語形揺れや類義語が示されるものがある(この「l」を「vel注記」と呼ぶ)。「tanmat」は、当該箇所とは別に単独で立項されているため、単独項目の方に統合し、該当行の《備考》列に「2項目を統合(tanbatのvel注記)」などと示した。「fusŏcocu」は当該箇所にしか見えないため、「扶桑」に続けて「扶桑国」の行を設け、《出現位置》列の末尾に「L」を入力した。
- 漢語サ変動詞や漢語由来の動詞は、連用形の形で示した。例えば、「aixi, suru, ita.【愛し,する,した】」は、《漢字》列に「愛」、《漢語》列に「愛し」、《仮名注》列に「アイし」と入力し、《その他》列に「見出し語出現形:aixi, suru, ita.」のように示した。
- 「二字以上の漢語+和語(付属語を含む)」という構造を有する混種語項目のうち、前部要素となる漢語が単独で立項されている場合は、単独項目の方に統合し、混種語項目に関する情報は「複合派生項目」として《備考》列に示した。例えば、「acadana【閼伽棚】」は「aca【閼伽】」の《備考》列に「複合派生項目:acadana」として示し、「閼伽棚」の行は設けなかった。
- 「二字以上の漢語+和語(付属語を含む)」という構造を有する混種語項目のうち、前部要素となる漢語が単独で立項されていない場合は、漢語部分のみを抽出して入力した。例えば、「bucotna【無骨な】」は「bucot【無骨】」として入力し、該当行の《その他》列に「見出し語出現形:bucotna」などと示した。
- 「ririxij【凜々しい】」「mottainai【勿体ない】」のように、分解しがたい語については、以上の処理とは異なり、見出し語の形をそのまま採用した。
- 「二字以上の漢語+和語+漢語」となる項目(例:vŏjŏno soquai【往生の素懐】)や、その他の混種語項目(例:aburi dôfu【炙豆腐】)については、『日葡辞書』の見出し語の形をそのまま入力した。混種語は《語種》列から抽出できるため、利用者それぞれの方針に応じて、改変してご使用いただきたい。
字音情報
- 呉音が優勢であるが、漢音も多く、室町末~江戸初期における日常的な漢語の語形を反映しているとみられる。
- 「xentacu【洗濯】」の語釈の「Meliùs, Xendacu.(邦訳:「Xendacuと言う方がまさる.」)」のように、漢語の読み方に対する当時の規範を示す記述が散見される。この種の記述のうち、特にMeliùsもしくはpotiùsという注記語が示されるものについては、《その他》列に「語形注記:Meliùs, Xendacu.」などと示した。
- オ段長音の開合を区別し、開長音は-ǒ、合長音は-ôで示されるが、混乱している例も多い。本データベースでは、混乱例の指摘は行わなかった。
- 四つ仮名を区別し、ジ/ヂはji/gi、ズ/ヅはzu/zzuで示されるが、混乱している例も多い。本データベースでは、混乱例の指摘は行わなかった。
- 閉音節の-tが存在する。『邦訳日葡辞書』では、促音「ッ」と区別するため、「ッ」を連綿させたような活字を作成して転写しているが、本データベースでは平仮名の「っ」で代用した。
- 撥音は、nの他に、先行母音にチルダを付した表記も見られるが、《仮名注》《仮名型》では「~ン」で転写した。
- カ・ガ・ハ・バ・パ・マ・ラ行の拗長音の表記は、開音は-iǒを、合音は-eôを基本とするが、-eǒや-iôも見受けられる。これらは、『邦訳日葡辞書』の転写法に従ってそれぞれ区別した。例えば、fiǒ, feǒ, feô, fiôはそれぞれ、ヒャゥ,ヘャゥ,ヘゥ,ヒョゥと転写した。
参考文献(著者名,論文名,雑誌名,ISSN,出版者名,出版日付,巻,号,ページ,URL,URL(DOI))
- 今泉忠義,日葡辞書を通して見た字音と語法と,国語学,0491-3337,刀江書院,1951-06-15,,6,11-28,https://bibdb.ninjal.ac.jp/SJL/view.php?h_id=0060110280,
- 石山裕慈,日常使用の日本漢字音の歴史―『日葡辞書』と現代日用語辞典との比較を通して―,国語と国文学,0387-3110,明治書院,2022-09-01,99,9,49-62,,,
- 大島英之,中世における呉音漢音混読現象の展開―『色葉字類抄』と『日葡辞書』の漢語語形の比較を通じて―,計量国語学,0453-4611,計量国語学会,2022-09-20,33,6,373-388,,https://doi.org/10.24701/mathling.33.6_373
入力責任者
- 大島 英之
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